悪魔祓い・祈祷・除霊などで子供が犠牲に・・・
SNSで手軽に宗教的な話や占いが身近にできるようになった時代。
巷には「子宮系」や「胎内記憶」といった新しい宗教的な言葉も溢れ、スピリチュアルな世界にハマってしまう人が続出しています。
しかし、皆さんは「悪魔祓い」「祈祷」「除霊」などと称して、不安につけこんで金銭を要求したり、暴行が行われる事件が起こっていることをご存知でしょうか。
今回は、親が洗脳されてしまって子供が犠牲になってしまった事件を、今後同じような事件が1件でも無くなるよう、風化防止の為に振り返ります。
「悪魔祓い」と称し、1歳の女児を床に叩きつけて暴行死させる
2011年、群馬県前橋市内で、“悪魔祓い”と称して1歳4か月の城田麻雛弥(ますみ)ちゃんが暴行を加えられ死亡した事件。「悪魔祓い」と称して麻雛弥ちゃんに暴行を加えたとして、自称・コンサルタント業、北爪順子(65)に懲役9年(求刑懲役12年)が言い渡されました。
#傷害致死容疑 「#悪魔払い 」1歳死亡か 母の知人聴取へhttps://t.co/Cyi3cXdwEa#群馬県 #前橋市 駒形町 #北爪順子 ( #中島順聖 )容疑者
女児は生後間もない頃から、「体の中から悪魔が出ていかない」などと、暴力を連日ふるわれていた pic.twitter.com/dDVcWkQaPk— でびたん (@devilpoison1) February 23, 2017
※年齢は2018年2月時点のものです。
霊感商法で金銭を手にしていた北爪被告
北爪順子は「中島順聖」と名乗り、自宅のアパートで体調不良の人たちを触り治療をしていました。麻雛弥ちゃんの両親は、麻雛弥ちゃんが生まれる約1年前から北爪順子のことを「先生」と呼ぶ信者で、麻雛弥ちゃんは生まれて間もないころから、北爪順子から暴行を受けていたと見られています。
30~50代の信者が続々アパートへ・・・
北爪被告はアパートを2室借り、そのうちの1室で「おはらい」をしていました。この部屋には祭壇があり、大音量で音楽を流して祈祷が行われていました。
来訪者は主に30~50代の女性が多かったようですが、成人男性や家族連れの姿も見られたそう。中には2歳~小学生くらいの子も足を運んでおり、近所の人たちは度々訪れる和服の信者たちの姿を見て「宗教的な場所」だということは認識していたとのことです。
城田麻雛弥ちゃんの家族は?
麻雛弥ちゃんの家族構成は、父親(42)、母親(43)、姉(15)、兄(13)
※年齢は2017年2月時点のものです。
驚くことに、麻雛弥ちゃんは2010年~2011年にかけて、前橋市の「前橋市要保護児童対策地域協議会」に「要保護児童」として把握されており、事件発覚後は、「救える命だった」との声が多くあがりました。
母親は、「先生と話すと心が軽くなり、前向きになれた」。父親は「色々なきっかけがあり信じるようになった。逮捕されたことでいい結果にはなった。でも麻雛弥はもう帰らない。」という発言をしています。
麻雛弥ちゃんが亡くなってすぐの頃、母親は「事故にあった」や「転んだ」と北爪順子を庇う発言をし、完全に心酔していたと見られています。しかし事件から5年以上が経過した28年10月、母親が影響を受けなくなり真実を述べるに至りました。
頭上から床に投げつけ、逆さ吊りに。
母親は「事件当日、北爪被告が、麻雛弥ちゃんを両脇から抱え頭上から床に投げつけた」。それと同時に自身も「麻雛弥ちゃんを逆さ吊りにして揺らした」と証言しています。
麻雛弥ちゃんが暴行を加えられ搬送された病院からは「虐待の疑いのある女児を手術中」と通報が入り、県警が捜査を開始。当時母親は「転びやすい子だった」などと説明していましたが、頭や背中にまで複数のあざが確認されました。
県警は、目立つ外傷ではないけれど自然にできるはずではないような怪我や外圧が見受けられるとして長期に渡り捜査を続け、麻雛弥ちゃん死亡から6年後、やっと逮捕に至りました。
裁判では親の責任にも触れられる
裁判では北爪順子の弁護側が「犯行動機はないため、無罪」と主張していましたが、母親が自身の暴行についても認める不利な発言をしていることから信憑性があると認められ、刑が確定しました。しかし裁判ではこの異様な状況が作り上げられたのは「北爪被告だけを非難すれば足りるものではない」と、麻雛弥ちゃんを守るべき大人にも責任があると発言しました。
「悪魔」がついているのは祈祷師と親でしょ!なんで1歳の子が犠牲になるの・・・?
「祈祷」と称して母親と小学生の娘にわいせつ行為
2018年5月、福岡県警は37歳の女性に対し祈祷と称してわいせつ行為を強要したとして、新宮町の古賀祐二郎(73歳)が逮捕されました。
古賀祐二郎は、2017年11月と12月に「あなたが死ぬ夢を見た。お祓いしないと死ぬ」と電話をかけて呼び出し、当時37歳の知人女性を呼び出しわいせつな行為をしたとされています。
祈祷と称して女性の下半身に口をつけたとされていましが、警察の調べに対して「同意の上だった」と容疑を否認していました。
しかし驚くことに、2018年3月、この女性の小学生の娘にも「気を気を入れてあげる」などと言い、強制わいせつをした疑いで逮捕・起訴されています。
※年齢は2018年5月当時のものです。
古賀容疑者は「明るく活発なおじさん」
古賀祐二郎は、公民館を借りて歌の教室を開催していました。
周りからは「明るく活発なおじさんでそんなことをするように見えない」「祈祷をしていたなんて知らない」という驚きの声が挙がる一方、古賀容疑者の自宅には小学生~中学生くらいの女の子が入っていく様子が度々目撃されており、警察にマークされているという噂もあったようです。
70歳を超えて小学生に手を出すなんて・・・(怒)
事件の3年ほど前に妻を亡くす
古賀容疑者は事件発覚の3年ほど前に妻を亡くしています。小学生の女児が被害を受けたのが歌の教室中であったことから「この教室自体がターゲットを探すための場所だったのでは」という見方がされています。自宅でも個人レッスンをしていたようで、何も知らない生徒が事件を聞いてショックを受けたという話もあります。
何故自身が被害にあったのに娘を守れなかったのか
この事件では、先に母親が祈祷と称したわいせつ行為をされているにも関わらず、娘を守れなかったのかということが問題視されています。洗脳されていたのか、はたまた娘が被害にあうまで行動できなかったのかは分かりませんが、もっと早くに被害に気付き離れられなかったのか・・・と残念でなりません。
「霊能力者になる修行」と称して女子高生の頭を丸刈りにし、切りつける
2017年5月、霊能力を身につけるための修業と称して、当時高校生の娘をカッターで切りつけ、髪をバリカンで剃ったとして、青森県おいらせ町緑ケ丘の住む、母親の川口とみ子(44)と、近所に住む自称霊能力者・宮崎香奈子(35)を逮捕しました。
※年齢は全て2017年5月当時のものです。
壮絶な虐待をし、丸刈りでビニールハウスに放置
高校生の娘が発見されたのは、2017年の1月。住民から三沢市の農業用ビニールハウスにいるところを発見され、通報されました。
青森の1月なんて極寒でしょうに・・・。
住民が驚いたのはその容姿。年頃の女の子なのに、上下スエット姿で髪を削ぎ落とした様子は、とても異様に映ったことでしょう。
警察によると、虐待行為は高校を休学した2016年の夏ごろから始まったと見られています。その頃から、娘を宮崎容疑者容疑者の自宅に住まわせて、霊能力を身に着けるための修業と称して数々の虐待行為をしてきました。
バリカンで髪の毛を剃る以外にも、
ハエ叩きや棒を使って尻を殴り、切り傷や打撲を負わせる
カッターで腕を切りつける
などの暴行を加えたとされています。
驚くことに、娘は当初この行為に対して「修行」だと認識しており、虐待や暴行だとは思っていなかったとのこと。ビニールハウス内で発見された時も「闇の中を見る修行」をしている最中で、暖をとっていただけだと本人自らが警察に証言しています。
暴行は認めるも、正統性を主張
2人の容疑者は、暴行については認めているものの「正統な修行だった」と主張。その後、自称霊能力者の宮崎香奈子は罰金の略式命令、母親の川口とみ子は、懲役1年6月、執行猶予3年(求刑懲役1年6月)の判決となりました。
その後娘は学校に戻ったとの事ですが、霊能力者だけでなく自分の母親からも虐待を受けたという事実は生涯にわたって彼女の心を傷つけるでしょう。また、刑の軽さにも驚かされます。
「死神を退散させる」と1型糖尿病の小2にインスリン投与中止
栃木県警は、2015年11月、殺人の疑いで、栃木県下野市小金井1丁目、自称祈祷師の会社役員(建設業)の近藤弘治(60)を逮捕しました。
近藤被告は、1型糖尿病だった宇都宮市の小学2年生の今井駿くん(当時7歳)のインスリン投与を中止させて衰弱死させたことで殺人罪に問われました。自らを「龍神」と名乗り、駿くんの両親を信じ込ませていました。
後に宇都宮地裁で、懲役14年6月(求刑懲役15年)の判決が言い渡されています。
💀『八百長だ!』被告叫び退廷💀
①自称 祈とう師の”龍神”こと近藤弘治くん62歳が出廷しま…
②『あんたは八百長裁判長だ』と叫び退廷を命じられま…
③『俺は平清盛の末裔だ』と叫びながら退廷しま…清盛の末裔なら62歳にもなってスヌーピーの傘はささないと思… pic.twitter.com/dLt2Nt9YMj
— ★【生えるニュース】★ (@HaeruNews) March 6, 2017
指示はメールで「ハンバーガーを近所に配れ」
駿くんの母親は、「血糖値測定の際に、小さな指に針を刺しているのが見るに耐えなかった」と話しており、近藤弘治の名刺を見つけて電話をしたところ「簡単に治せる」と言われたことから、不安感が消えていったと証言しています。
親ならすがってしまう気持ちは分からなくない。でも、何故亡くなるまで気づけなかったのか・・・。
近藤弘治が母親に治療と称して指示した内容は、とても糖尿病の子供にして良いものではありませんでした。
近藤弘治からの指示はいつもメール。しかも“死神を欺くため”として正しい漢字変換もしなかったという。裁判であきらかになった一例をあげると・・・
「治療に入る。水を大コップ、梅干し3個 飲ませ食べさせよ」
「これ以上、医師の指導に従うな」
「インスリンを打たなくても、バリアで守られる。おれの命に換えても守ってやる」
「駿君の足の近くに灯油をおけ」
「仏壇の位牌などをおけ」
「龍神の書いた紙を駿の足に乗せろ」
「ハンバーガーを大量に買ってきて近所に配れ」
「本格的なハンバーガー屋がある。20個頼んですぐに食べさせよ」
などといった指示が送られて来たとのこと。
422万とともに息子の命まで奪われた両親
駿くんは亡くなるまでの約20日間、インスリンを打たないことで徐々に衰弱し、最期は母の目の前で亡くなりました。
駿くんの両親は、総額422万円ものお金を近藤弘治に支払っており、最終的には治療を中止したことによって息子の命まで亡くしてしまいました。
その後、母親は近藤弘治に心酔しきっていたため「間接正犯」、一方で半信半疑だった父親は治療を中止して病院に連れて行くなどの行動ができたとして「共謀共同正犯」の関係にあるとし、両親は保護責任者遺棄致死罪で書類送検され、起訴猶予処分となりました。
金と権力を誇示したかった自称「龍神」
近藤弘治は、「治療のための報酬」として金銭を要求しており、裁判中は駿くんの両親を愚弄(ぐろう)して反省の態度は見せていませんでした。
裁判で両親を馬鹿にしていたのね。
また、「投与中止を判断したのは両親」として、無罪を主張していました。
初公判では裁判長に向かい「八百長」などと発言し、退廷を命じられるような人柄で、何故こんな人間を信用してしまったのか、亡くなった命の重さを考えると残念でなりません。
病気を患っている家族の心につけこんだ犯罪
この事件と同様に、2005年の7月にも、岐阜県恵那市山中の次世紀ファーム研究所で、「糖尿病なんて夜明け前。朝飯前より簡単だ」という言葉を信じて母親が12歳の娘を施設に入れ、その後死亡するという事件がありました。
病気で苦しむ人たちに「〇〇で病気が治る」などというのは、今でもSNSなどで良く見る手法ですが、藁をも掴む思いですがってしまう気持ちを利用した金儲けは、絶対に許してはいけません。
「除霊の為の滝行」で中2女子が椅子に縛り付けられ窒息死
熊本県長洲町で2011年8月に「滝行」と称して、当時中学2年生(13歳)だった舞鴫ともみさんに水を浴びさせて殺害したとして、父親の舞鴫淳(50)と、僧侶・木下和昭(56)を傷害致死容疑が逮捕されています。※年齢は2011年当時のものです。
後に熊本地裁で、父親の舞鴫淳には懲役3年・執行猶予5年(求刑懲役3年)、僧侶の木下和昭には懲役3年6か月の実刑判決(求刑懲役4年)の判決が言い渡されました。
亡くなっているのに、この罪の軽さ!
椅子に縛り付けて滝行をする
中学生の娘は、統合失調症を患っており、その治療の為と称して宗教施設「中山身語正宗玉名教会」の滝場で滝行が行われていました。(※「中山身語正宗」の他の施設では除霊は行っていないと発表されています。)
2011年3月頃から約100回ほど行われていたという滝行。亡くなった当日は、腕や足を椅子にベルトで縛り固定した状態で行われ、約5分水を浴び続けたことで窒息死したと見られています。
娘が亡くなっても「子を救うための行為」と主張
裁判で父親の舞鴫淳は、「統合失調症を患った子を救うための行為」として傷害致死ではないと主張していました。自分の行動で娘を殺してしまったのに、あくまでも“正義の行為”と言い張る姿は、自分勝手以外の何物でもありません。
ともみさんが「痛い!いやー!」「お父さん許してー」と叫ぶ声は、近所の住民にも聞こえる程だったそう。この声を聴いても止めることができなかったのは、絶対的に信頼をしていた僧侶の存在があったからでしょうか。
ともみさんは、小学校高学年から心身を患い通院していました。これを気に病んだ両親がこの施設に訪れ、直後から滝行が開始されました。僧侶の木下和昭は、「病気の原因は、霊に取りつかれていることで、修行によって除霊をやれば健康になれる」と両親に話したそう。裁判では父親が罪に問われましたが、母親もともみさんを連れてこの宗教施設に足を運んでいました。
亡くなった2011年8月27日は、午後9時10分から滝行を行いましたが、ともみさんが意識を失ったため病院へ緊急搬送。翌28日の午前3時40分頃、亡くなりました。
近所の人たちは最初は夜中に叫び声が聞こえてきたが、最近では昼間も聞こえていた、警察に通報しようかと迷っていたという。
僧侶の木下和昭の妻は「残念としか・・・」
木下和昭の妻は、報道陣の取材に対し「会社勤めをしていたのをやめて本格的に宗教に携わるようになったのに」「悪霊を払う為に一生懸命だったのに、残念としかいいようがない」と言った趣旨の発言をしています。
まるで他人事のよう。
父親は容疑を否認、僧侶も無罪を主張、母親はどの記事にも登場しない・・・。
心の病を治すどころか生きることすらも奪われてしまったともみさん。拘束され水を浴びせられるという拷問を受けたのに、当事者たちの罪が軽すぎることにも驚き、怒りを覚えます。
悪魔祓いや除霊での虐待・暴行死を許すな!
今回ご紹介したような、悪魔祓いや除霊による痛ましい事件は、日本だけでなく海外でも起こっています。
本人が納得してお祓いを受けているわけではなく、親が洗脳されたり、親によって子供が洗脳されてしまうような事件は後を絶ちません。
今現在でも、SNSには「○○で病気が治った」や「○○するだけで心配ごとが解消できる」などと謳い、自称霊能力者が信者を集めている様子がうかがえます。
そんな人に騙されて金銭や大切な命を失ってはいけません!
過去の事件を知ることで、悪魔祓いや除霊に頼ってしまうことで大切な命を亡くしてしまう人が1人でも減るように祈っています。
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