子供のことをけなす親の心理は?
「毒親」という言葉が一般的になった今。
多くの人が自分の生きづらさが、「自分の育ってきた環境が影響しているのではないか」と気づき、抜け出そうと試行錯誤しています。
「毒親」というと、暴力やネグレクトなどを想像してしまいがちですが、一見普通の家庭でも、知らず知らずのうちに子供を傷つけてしまっている、毒になる親がいます。
今回は、そんな毒親の中でも「子供をけなす親」の実態と、けなされて育つと将来どんな影響が出てしまうのかを見ていきたいと思います。
子供をけなす親の言葉と心理
まずは実際にどんな言葉でけなしているのかを見ていきましょう。
性格をけなす親
- いじわるな子だね
- 口ばっかりで行動しない
- だらしがない
- こずるい
- のろま
- ぐずぐずするな
- 泣き虫
- 弱虫
- 怖がり
- 不器用
- いくじなし
容姿(見た目)をけなす親
- ぶさいく(ぶさかわ)
- 太っている・デブ
- くさい
- 天然パーマで汚らしい
- やぼったい
育ち方をけなす親
- そんな風に育てた覚えはない
- 誰に似たんだか
- 本当に私達のこどもなのか
- ~できない子はいらない
- あなたは絶対将来~できない
けなされて育った子供は、将来どんな影響があるのか?
では、けなされて育った子供は将来どんな影響が出てしまうのかを見ていきましょう。
自己肯定感がなく、自己否定感が強くなる。
幼少期に親からけなされて育つと、けなされた自分が本当の自分自身のように感じてしまいます。
例えば、「だらしがなくて口ばっかり」だと言われたとします。すると、自分の中の自分の評価も「だらしなくて口だけの人間なんだ」と潜在意識の中に刷り込まれます。
自己肯定感とは、自分自身を肯定的に受け止めること、反対に自己否定感とは自分自身を否定的に受け止めることを言います。
自己肯定感という言葉は近年よく耳にするようになりましたが、自尊心、事故存在感、事故効力感も同じ意味があります。これらの言葉にはさまざまな定義がありますが、幼少期のできごとも影響しているという説が有力です。
自分にも、他人にも“~すべき”という思考が強くなる
親からけなされて育つと、けなされない為にはどうしたらよいのかを考えるようになります。
「公の場ではこういう風にマナーを守らなければいけない」
「こういう人がいる時は、こういう行動をするべきだ」
など、第三者からどうみられているかを気にしすぎてしまい、“~すべき”という思考から抜け出せず、怒りや焦り、落ち込みに繋がります。この思考を「べき思考」と言い、問題になることが多い考え方のクセだと言われています。
「~すべき」という言葉で、自分や相手を批判し、縛り付けることが、生きづらさに繋がってしまいます。
親や他人に不信感を持つ
幼少期に親からけなされて育った場合、成長するにしたがって「それは違うのではないか」と感じるようになります。これは健全な成長でもありますが、親への不信感はどんどん大きくなります。それだけならまだ良いのですが、他人に対しても信用しきれず「本当はこう思っているのではないか」と、誰にも心を許せなくなってしまいます。幼少期に一番身近にいた、無条件に愛情を与えてくれるはずの親が自分を認めてくれなかった場合、親や他人を認めることは容易ではなく、優しくしてくれる人や自分を大切にしてくれる人には「何か魂胆があるのではないか」と不信感を持って接してしまいます。
他者からの評価を気にしすぎてしまう
けなされて育つと、親だけでなく第三者からの評価を気にしすぎてしまう傾向があります。「良い子だと思われたい」「褒められたい」「変な人だと思われたくない」といったように、自分が何をしたいかよりも、周りからどう思われるか、どう評価されるかで自分自身の価値を見出そうとしてしまいます。これを「承認欲求」とも呼びます。承認欲求が強いのは悪いことばかりではありませんが、自分がどうしたいかよりも、どう思われるかのほうに重きを置いて生活するのは、とても疲れてしまいます。
自分を大切にしてくれない人に依存してしまう
一番身近にいて、自分を大切にしてくれるはずの親が自分をけなす場合、それが当たり前だと思って成長してしまいます。その為、自分を大切にしてくれない恋人や配偶者に出会ってしまっても離れることができず、「悪いことをしたんだからけなされて当たり前」「こうすればきっと認めてもらえる」と、依存してしまいます。
自分の子供や大切な人をけなしてしまう
一番悲しいのは、けなされて育ってきたのに、自分の子供をけなしてしまうこと。ふとした瞬間に軽く口から出る言葉が、子供を大きく傷つけることになります。ここで「これくらいは親子だから大丈夫!」と思ってしまったら、もう自分自身も毒親の仲間入りです。
そもそも何故自分の子供をけなすのか?親の心理とは
親自身もけなされて育てられた
親自身も親からけなされて育って来たケースでは、「軽口」「けなしているってなに?」「傷つくことなの?」と、指摘されて驚く親もいます。「自己肯定感」という言葉が日本で使われるようになったのは1990年代。それまで自分の子供を人前で褒めると「親バカ」だと言われ、謙遜こそ美徳だとされてきました。また、日本では昔から礼節や協調性を大切にする節があり、失敗したら人前でも叱られる、子供のできないことをみんなで比べあうという行為が当たり前のように行われてきました。
子供のためだと思っている
子供をけなす親の中にはけなすことが子供の為になると思っている親がいます。「だらしがない」と言って子供が身の回りや部屋を綺麗にすれば、それは子供ができたことよりも「自分がこういう風に指摘したから改善したんだ」という風に、しつけの一環だと思っています。
ストレス発散
驚くことに、スタフォードシャー州のキール大学心理学部の学者らはイギリス心理学会のカンファレンスで、「暴言を吐くことに鎮痛効果があり、自尊心を満たす効果がある」という研究結果を発表しています。親自身も満たされない環境、満たされない育ち方をしてきた場合、無意識にけなす言葉や暴言が飛び出してしまうのです。
子供をけなす親になりたくない!子供をけなす親をどうにかしたい!
子供をけなす親は、変わりたいという強い気持ちが無ければ、改善することは難しいでしょう。
今実際にけなされている環境で育っている人は、一刻も早く「それはやめて欲しい」と伝え、親自身に傷ついていることを伝えましょう。しかし、それを親が悪いと思わない場合は、改善は難しそうです。
「けなされて育った自分がきちんと子育てができるのか」と不安になってしまう人がいるかもしれませんが、親からけなされて育ってきた子供は、その辛さや悲しみ、その後の生きづらさを身をもって経験してきているので、万が一口から出てしまったとしても、とりかえしがつきます。
また、自覚していれば、カウンセリングなどに通うこともできます。
完璧な親などいない。だからこそ、悪いところを悪いと認め謝り、改善する。
子供はそんな親の姿をしっかりと見て成長していくでしょう。
負の連鎖を断ち切る為にも、子供のけなす親の心理と行動を知り、自分の心を立て直したいですね。
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