食の安全を揺るがす「中国産ニンジン」が流通
厚生労働省は、東京と神戸での検疫の結果、中国産ニンジンから基準値を超える残留農薬「トリアジメノール」が検出されたことを発表しました。
食品衛生法に基づく検査命令を出し、今後中国から輸入されるニンジン(ニンジン加工品を含む)は、農薬の残留検査が義務づけられることになります。
トリアジメノールってどんなもの?
有機含窒素系の殺菌剤として使われている農薬です。
人への毒性の影響評価は詳しく分かっていませんが、ラットを使った実験では経口投与で毒性が指摘されています。
トリアジメノールの許容一日摂取量(人が一生涯毎日摂取し続けても、健康への影響がないとされる一日当たりの摂取量)は、体重1kg当たり0.05mg/日であることから、体重60kgの人が当該違反のにんじんを毎日約15kg摂取し続けたとしても、許容一日摂取量を超えることはなく、健康に及ぼす影響はありません。
基準値を上回ったからと言ってすぐに体に害を及ぼすものではありませんが、お腹の中にいる赤ちゃんから高齢者まで問題がない、安全な食品を飲食店やお店で提供することが一番大切。基準値はしっかりと守り、違反があった場合は厳しい対応が必要です。
国内2つの業者が別々に輸入、一部は既に流通済。
厚生労働省の発表では、今回問題となった「トリアジメノール」を含んだ中国産ニンジンを仕入れた会社が公開されています。
気になる方は、厚生労働省のホームページの「輸入食品に対する検査命令の実施」から確認してください。
■A社:令和2年5月21日(神戸検疫所)トリアジメノール 0.2 ppm 検出(基準:0.1 ppm)基準値の2倍!
■B社:令和2年5月27日(東京検疫所)トリアジメノール 1.0 ppm 検出(基準:0.1 ppm)基準値の10倍!

いくら“ただちに影響がない”と言われていても、基準の10倍は怖すぎる。
2社とも、一部は流通済み。残余保管中と報告されています。
中国産ニンジンはどこのお店やスーパーへ流通したの?
今回輸入した「メタミドホス」が含まれたニンジンは、一部が既に流通してしまっています。
2社とも、外食チェーン、食品メーカー、問屋を取引先としていますが、どこへ流通してしまったのかは公表していません。
問題視される中国産食品の安全性
「毒入り餃子事件」で検出されたのも農薬
平成20年(2008年)に日本をパニックに陥らせた「毒入り餃子事件」。
中国産の冷凍餃子を食べた家族が吐き気や下痢などの食中毒症状を訴え入院し、一時は意識不明に陥る被害者も出たことで大変な騒ぎになりました。
中国の食と安全が問題視されるきっかけにもなった事件ですが、風化し記憶から忘れさってしまっている人もいるのではないでしょうか。
この事件はその後の調べで「有機リン系殺虫剤メタミドホス」の混入が発覚。中国当局は「殺虫剤が中国で入った可能性は極めて低い」としていましたが、2年後に犯人を逮捕しました。

犯人には無期懲役の判決が下っているわ。

当時中国では「日本で混入したものだ!」「日本に責任があるから賠償を!」っていう声も挙がっていたのよね。意味不明。
残留農薬が中国産ニンジンから検出されたのは、これが初めてではない
平成19年~20年に同じように中国産ニンジンから「トリアジメノール」や「メタミドホス」が2社から検出されています。その時は基準の約2倍の残留農薬でした(トリアジメノール 0.2 ppm 検出(基準:0.1 ppm))が、10年以上経った現在、基準の10倍もの残留農薬が検出されていることは、楽観視して良いものだとは思えません。
中国産の野菜の安全性を今一度見つめなおそう
今回検疫所で「トリアジメノール」が検出されたということは、しっかりとチェック機能が働いていたからだと言えますが、残念なことに一部が既に市場に出回ってしまっています。できる限り回収して破棄をするとのことですが、詳しいことが発表されていないので、気を付けたくても一般の人達には分かりません。
今一度中国産野菜の安全性をしっかりと見つめなおさなければいけない時期にきているのではないでしょうか。
残留農薬のチェックは株式会社つくば分析センターや、株式会社日吉など、色々な会社で行われています。
カロリーベースで約6割を輸入に頼っている日本に住む私たち。食品の安全に関して関心を持ち、安全、安心なものを美味しく味わいたいですね。
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